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* 天然妄想記録 *
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天宮雫のBL萌え記録。色々なジャンルの小説やイラストを載せています。
現在のマイブームは、ユーリ!!! on ICE、黒子のバスケ、ハイキュー!!です。
ジャンプ人気作品は、たいていはまっています♪
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バトルでナイト(ヴィクトル×勇利)

2017/05/09 14:12
「開けてよ、ユーリ!」
 ドンドンドンと部屋のドアを叩かれる。ノックとはいえない大きな音に耳を塞ぎたくなった。
 やることなすことすべて目を惹く、世界的スターのヴィクトル・ニキフォロフが、超地味日本人スケーター勝生勇利の部屋の前にいる。
 未だに信じられない。
 憧れは憧れでしかなく、どうやっても手が届かない存在だと思っていた。同じグランプリファイナルの舞台に立っても、その気持ちはかえって深まるだけだった。
「オゥ、ユーリ。やっと開けてくれた」
 その男が自分のコーチになると言って、目の前に現れた。
 華やかな美貌に笑みを湛えて。
「――ヴィクトル、泊まっている人に迷惑だから…」
 嬉しい…嬉しいけど、まだその現実に慣れない。
 そこにいるだけで花になる男は、魔法のごとく世界を一変させる。
(それがいつまで続くんだろう…)
 仕方なく扉を開けた勇利は、フーっとため息をついた。
 スケートだけでなくプライベートまでヴィクトル一色に染まってしまったら、失ったときが怖い。ありえないほどの幸運を手にしたのだからと諦めることができるのだろうか。
「淋しいよ、ユーリ。どうしてすぐに背中を向けちゃうの?」
 後ろから伸びてきた指先まで整った長い手に見惚れた瞬間に、勇利はヴィクトルに抱き寄せられた。
「ボクのこと、嫌い…じゃないよね」
 ドクドクと高鳴っている胸の鼓動を確認するかのように、ヴィクトルの掌が押しつけられる。
(そんなことないって確信してるくせに…ッ)
 こっちは心臓を鷲掴みされている気分なのだ。反応を面白がるようなことはしないでほしい。
「ボクはユーリのことが好きだから、もっと知りたいと思ってるのに。ボクばっかり好きになってるみたいで不公平だ」
 どこまで本気か知らないが、ヴィクトルは拗ねた口調で責めてくる。
 吐息混じりの睦言に、いったいどれだけの人間が惑わされてきたのか。
(――僕は…僕はもっと前から、ずっと、ヴィクトルのこと大好きだったんだぞ)
 そう責め返してやりたいけど恥ずかしくて言えない。
 抱き締められている体がどんどん熱くなる。
 顔を見ずとも勇利の気持ちが手に取るように分かるのか、ヴィクトルがクスリと笑った。
「大分絞れてきたけど、まだ少しお腹はプニュプニュだね。触り心地としてはプニュプニュなのも捨てがたいけど」
 勇利のTシャツの裾から手を差し入れて、肌の感触を確かめたヴィクトルが『プニュプニュ』と繰り返してからかう。
 しっとりとした指に大分減ってきた贅肉を摘ままれ、勇利はギュッと目を瞑った。
「も、もう触らないで…」
 変な気分になってくる。こっちはヴィクトルと違って全然免疫がないんだから。
 喘ぐように拒みながら、勇利はさらに弄ぼうとするヴィクトルの手から逃れようと身動ぎした。
「やっと口をきいてくれたと思ったら、それ?」
 ジリジリと前進する勇利の体にしっかりと腕を絡めたまま、ヴィクトルは呆れたように鼻を鳴らす。
「もっと触っての間違いじゃない?」
「ヒ…ヒャッ……」
 突然腹部より下に触れられて、勇利は素っ頓狂な声を上げた。
「色気がない。もっとユーリはエロスを勉強しないと」
 スッと指先で形をなぞられただけで、自身が痛いほどジンジンしてきて、勇利は目頭が熱くなってきた。
 いとも簡単に煽られて、羞恥のあまり涙が出そうになる。
「ウルセー、テメーらいい加減にしろッ!」
 天の助けとは思えない怒声と共に後ろから衝撃が訪れた。
「うわっ!」
「オー、ノー!?」
 ヴィクトルと一緒に床に転がった勇利が仰向いた先に、鬼の形相でもう1人のユーリが立っていた。
 ロシアの妖精――ユーリ・プリセツキーは銀盤を降りればただのヤンキーでしかない。
「どこでもサカッってるんじゃねぇ! そういうことはオレに勝ってからにしろ!」
 飛び蹴りされたヴィクトルは、ユーリに背中を右足で踏みつけられている。
「オレの眠りを妨げるなら、使い物にならにようにしてやろうかッ!」
 いつも以上に眉間に皺を寄せたユーリが、険悪な笑みを浮かべた。
「ユリオ、全然アガペーじゃない」
「テメーにくれてやる無償の愛なんてねーよ」
 ボソリと呟いたヴィクトルの襟首を引っ張ったユーリは、そのまま彼を部屋の外へ放り出した。
「ブタは1人でクソエロスやってろ」
 侮蔑の目で勇利を見下ろすと、ユーリはヴィクトルを蹴りながらバタンと盛大な音でドアを閉めた。
 ペタンと床に尻を下ろして呆然としていた勇利は、ビクッと両肩を上げて目を瞠る。
 これから競うライバルに、とんでもないところを見られた。しかも相手は15歳…。
 と我に返ったところで、もうどうしようもない。
「ああ、もう、恥ずかしか――ッ」
 明日からどんな顔して会えばいいのか。
 天を仰いだ勇利は、真っ赤な顔を両手で覆った。



アニメの2・3話辺りです。
SSなのに、最初考えたものと内容が違っちゃいました。
初書きだから、こんなものかと思いつつ。
今回書けなかったネタは次回に♪
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dificult & difference(遊真×修)

2015/12/20 14:19
「オサム…」
 上着の裾を引っ張られて振り返ると、修はなめらかな仕種で顎を引いた。
 視線を下げるのは、反射と言っていいほど習慣化している。
「空閑、どうかしたのか?」
 親よりも学校の友達よりも、一緒に過ごす時間が長い仲間。
 仲間――それだけでは足りない気がするけれど、自分の語彙量ではそれが限界だ。
 目が合った空閑が嬉しそうに微笑む。
 小学生と見間違える童顔なのに、何故か時々大人びて見える。
「今度は2人でここに来よう」
 笑みを濃くした空閑の白い髪が赤や黄色、温かみを帯びた夕焼け色に染まっている。
「今度…2人?」
 幻想的な色合いに目を奪われていた修は、断片的に耳へ入ってきた言葉を繰り返した。
「そうそう」
 2人というのを強調するようにピースサインを出し、空閑は少しぼんやりとしている修の目の前で『聞いてる?』と指を振った。
「あっ、ああ。夕日が見たいなら、またみんなで来ればいいよ」
 1日の終わりの消えゆく美しさに、近界民のリリスとゼノも喜んでいた。
 綺麗なものを見たときの感動は、人間も近界民も変わりない。だから争わないで分かり合える方法もきっとある。
(ぼくたちのように…)
 先を行く千佳と宇佐美、リリスとゼノの間に柔らかな空気が流れている。それがすごく嬉しい。
「オサムは全然わかってない」
「えっ、何が?」
 拗ねた口調に気づいて向き直ると、空閑が唇を尖らせている。
「みんなではもう見ただろ。だから次は2人でって言ってるんだ」
「……?」
 空閑が不満そうなのは分かるが、意図が全く理解できない。
「オサムは気づかいのオニなのに、妙なところで鈍いんだよな〜」
 修が首を傾げると、空閑は大袈裟にため息をついた。ふむふむと1人で納得げに頷かれても困る。
「良いことはみんなで共有した方が倍増する。悪いことは分け合った方が軽くなる。そういうもんだろ?」
 こっちからしてみれば、空閑の方が謎めいているが、近界民とだってきっとそうだと思う。
 同意を求めて見つめると、空閑が頭をかいて苦笑する。
「くだらない嘘…じゃないから、まいるんだよなぁ。まあ…そういうところも好きだけど」
 軽く一歩踏み出した空閑が、胸の中に飛び込んできた。甘えるように額を擦りつけてくる。
「えっ、あの…空閑……?」
 ギュッと強く抱きついてくる彼をどうしていいか分からず、修は宙に浮かせた両腕をバタバタさせた。
 やっぱり時々噛み合わないし、突拍子もないことをする。
(――だけど…)
「…ぼくも、好き…だよ」
 サイドエフェクトで本心を見通してしまう空閑にそう返事をすると、勢いよく顔を上げた彼は満面の笑みを浮かべた。
 落ちかけた夕日の代わりに光り輝く笑顔に、ドクンと胸が高鳴る。何故だか顔まで熱くなった。
 空閑の華奢な体の重さなど大したことないのに、膝の力が抜けそうになる。
「修くん、遊真くん、行っちゃうわよー」
 離れていた後輩に気づいて、先導者の宇佐美がおいでおいでと大きく手招きしている。
「わかったー、栞ちゃん」
 我に返った修の肩越しに、空閑が手を振り返す。
「行こうか、オサム」
 両腕を離した空閑に促され、修は戸惑いながらも踵を返した。
「今度は2人で…」
「う…うん。えっ!?」
 驚いた修の顔を面白げに見やった後、『先に行くぞ』と空閑は駆け出した。



初ワールドトリガー!
久々に小説を書いたうえに、お初なのでこれでいいのか分かりませんが、とりあえず年内にアップしました。
アニメ?話より。色々後でこっそり直すかも。
記事へなるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0


厚労省の休息(白鳥×田口)

2014/02/05 17:17
「これはどこに運べば…」
「それはここに。じゃなくてッ」
 ついつい笑顔で運送業者に言ってしまった田口は、眉間に皺を寄せて腕組みをしている白鳥を振り返った。
「白鳥さん、これはどういうことなんですか!?」
「いや、ねぇ、東城医大でちょうど廃棄するソファーがあったからもらってきたの。リサイクル。いいでしょ、エコで」
 あつらえたかのようにすっぽり収まったソファーの背を撫でた手を、運送業者に『ご苦労様』と振った白鳥がニヤニヤ笑う。
 リサイクル、エコ。全く彼に似合わない言葉だ。
「そうじゃなくて、もらうのは自由ですよ。でも、何で僕の部屋に置くのかってことです」
「何言ってるの、僕とグッチーの仲じゃない。これからもっと忙しくなる僕のために休憩所ぐらい提供してよ」
 1枚1枚メールに添付されてくる謎のCT画像。しかもバラバラの死体だ。
 すべての答えは碧翠院にあると断言する白鳥は、あちらこちらで出没する。
 末期患者が自分らしく安らかに死を待つ場所。
 病院長は葬式まで執り行えるよう、僧侶の資格まで持っている。娘の小百合とすみれも必死に医師として寝る間を惜しんで働き詰めだ。
 そんな桜宮家族が経営する碧翠院に何があるのか?
 田口には巧妙に隠されているという闇が見えない。患者の声を聞き心に寄り添い、今のところは心療内科医としての仕事をできるだけ全うしているだけだ。
「本当に、碧翠院に何かあるんですか?」
「何かあるから、僕がここにいる。じゃ、答えにならないかな」
「……」
 白鳥と色々な事件を解決してきたからこそ、田口にとっては重みのある答え。例えそれを信じたくなくても。
「そーんな、難しい顔しないで。くつろぐときはくつろぐ」
「えっ、うわっ!」
 白鳥が田口の襟首を掴んでソファーに倒れ込むように座った。勢い余って顔が仰向き、シャツで首が閉まる。
「く…苦し……」
「あっ、ごめんね〜、グッチー」
 いとも簡単にチュッと軽く田口の唇にキスをして、白鳥は襟首を離した。
「――し…白鳥さんッ」
 睨んだところで堪える相手でないことは分かっていても、勝手なことばかりされたら僅かな男の意地が疼く。
「こんなに頑張ってるんだから、栄養補給させてくれてもいいでしょ」
「栄養補給なら充分じゃないんですか? お肉をあれだけ食べてるんだから!」
「それだけじゃ足りないときもあるの」
 語尾を強くして突っぱねようとした田口の肩に、白鳥は頭をもたれかけた。
 普段あれだけ嫌味なことばかり口にできる彼が時々見せる甘え。それすらも優位な立場になるための作戦ではないかと疑えるが、求められたら田口には振り払えない。
(バカみたいだ…)
 いつもいつも振り回されて、でも嫌いになれなくて。
 肩にかかった重みを退かすことすらできないのだ。右肩だけで足りなければ左肩も差し出すだろう。
 そして自分の身体さえも――。
「グッ…チー……」
 囁きが寝息に混じる。目の下にくっきりと浮かぶ隈。疲れが滲み出ている。
 僻地の碧水院から東城医大、長野総合中央病院まで足を運んで、謎の端を掴みかけた白鳥をねぎらうように、田口は優しく彼の頭を撫で、自分の方へ引き寄せた。



少し遅れての2話目辺りです。
いつもからかわれてばかりのグッチーだけど、たまには白鳥が甘えるのもいいかなあと思って書いてみました。
ドラマと一緒に楽しんでもらえたら幸いです。
記事へかわいい ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0


僻地の晩餐(白鳥×田口)

2014/01/13 16:50
「グッチー、ここだよ」
 寂れたとまでは言わないが客が少ない店の窓際で、白鳥がいつものニヤついた顔でヒラヒラと手を振っている。
 左遷ではなく、終末期医療のために行って欲しいと言われた僻地に、白鳥がしかも白衣を着て現れたときは本当に驚いた。
 白鳥が現れるところ事件あり。こんな静かな場所にいったい何があるというのだろう。
「また肉ばっかり食べて…。体に悪いですよ」
「嬉しいねぇ、グッチー。僕の体の心配をしてくれるの?」
 隣の席を勧める白鳥の前には肉料理ばかりが3皿並んでいる。
「栄養が偏って太っても知りませんよ」
 とりあえず隣に座り、ため息をつく。嫌味にならないことが分かっていても言わずにはいられない。
「太る…ねぇ。今の僕には無縁だってこと、グッチーが1番よく知ってるでしょ」
「…し…白鳥さんッ」
 やっぱり嫌味にならず自分に返ってくる。分かる自分が余計に恥ずかしくなるだけだ。
 少しは声を顰めてほしくて、田口は白鳥を俯き加減で睨みつけた。
「ねぇ、グッチー、そうじゃないの? 肉ばっかり食べても、グッチーより背は高いし、引き締まってるし、おまけに男前。言うことなしでしょ」
 自信過剰な言葉はいつものことだ。合コンをやっては情報を仕入れてくるなんて技、白鳥じゃなきゃできない。
 容姿、肩書をフル活用する男。
 そんな彼を1番自分が知っている。それは揶揄ではなく…。
 カーッと頬が火照ってきたときに、『メニューをどうぞ』と声をかけられた。慌てて顔を上げると、にこやかな女性が傍に立っていた。
 変に思われなかっただろうかとドキドキしながら、『あ…ありがとうございます』と頭を下げる田口を横目に、白鳥の口端がますます面白げに上がる。
 その唇といったい何度キスしたのだろう。
『ああ、駄目だ、こんなこと考えちゃ』
 とにかく料理を決めなければとメニューを凝視して、結局1番最初に目についた肉料理を頼んでしまった。海の街だから魚料理でも食べようと思っていたのに。
「ほーら、結局肉料理。精がつくからね、グッチーもいっぱい食べないと」
「ぐっ…」
 冷たい水でも飲んで気を落ちつけようとした田口は、思わず吹き出しそうになるのを何とか堪えた。
「ここのところ、ご無沙汰でしょ」
「――ご…無沙汰じゃありません」
 喉を詰まらせながら答える田口に対し、白鳥は悠々とステーキを大きく切って頬張る。粗野に見えないのは、口がどれだけ悪くても優雅な手つきだからだろう。
「うーん、僕の覚えでは…」
「も…もう、いいですッ」
「ということは、ご無沙汰と認めて僕の家に寄ると」
「何でそうなるんですか!? まだ荷物が片付いてないから行けません」
 ここで言い包められたら、何故白鳥がここにいるのかさえ聞けなくなってしまう。
 家族経営の僻地の病院に、いったい何があるのか。そして自分に何ができるのか。
「じゃあ、荷物が片付いたらOKって訳だ。3日後でいいかな。グッチー荷物少なそうだし」
「誰もそんなこと言ってません」
 荷物が少ないのは本当だけど。全部見抜かれているような気がして、白鳥を見れなくなる。早く料理が運ばれてこれば、少しは逃げられるのに。
 針の筵。だけど刺されると甘く蕩けてしまう。
「お待たせしました」
 タイミングよく料理が運ばれて来て、田口はホッと息をついた。そして素早くナイフとフォークを持つ。
「グッチーはお待たせしないでね。っていうより待てないか」
 『ねっ』と白鳥に顔を覗き込まれ、田口は口に入れた肉を噛めなくなった。
 ニヤけた顔なのに、どうしてカッコ悪いと思えないのか分からない。同性なのに嫌悪が湧かない。
 それどころか…。
 田口が咀嚼できないのを見て、笑いながら白鳥は視線を外した。
 『僕なら今日でも大丈夫だから』と付け加えることを忘れずに。



久々にSS書きました。同じ趣味の方、楽しんでいただける方がいたら嬉しいです。
ドラマは毎週あるので、体調が良くて萌えが出たら書いていこうと思います。
1度は書きたかったバチスタのCPなので。
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キスと誓約とonce more/伊達×後藤

2012/03/14 23:30
この場で限定記事にできないので、別の場所(プライベートブログ)に続きを載せました。
こちらからどうぞ。

この話で、一応最後となります。
幸せな2人をどうぞお楽しみください。
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道しるべと葛藤と掴むべきもの/伊達×後藤

2012/02/19 16:14
 口づけの余韻を感じる余裕などまるでなかった。
 縋りつきたかった絆を見失い、後藤はその場に立ち竦んだ。引き止められなかった掌をじっと見つめる。
 悲しくて悔しくて、こみ上げてくる想いは苦しいばかりだけど、途方に暮れている訳にいかない。重い足を引き摺って、ようよう研究所まで辿り着く。
(伊達さんは、わざわざ会いに来た…)
 言葉通りに受け取りそうになった『さよなら』は、まだ最後通告じゃない。
 世界を守るという大きな目標を達成するには力が必要で、それを目の前で体現してくれた男。
 時々は厳しく、時々は優しく。おちゃらけながらも真理を織り交ぜ、道を示し続けていた。
 自分の決めた道をずっと真っ直ぐ歩んで行くためには――。
 その答えは、きっと伊達が求めているものと同じもので…。
『お前なら、もう大丈夫だ』
 バースに変身するチャンスを無駄にした自分に、自信を持てと言ってくれた。信じているから次は迷うなと…。
 伊達の信頼を失いたくない。本当は、もうやるべきことは見えている。
 俺のピンチはお前のチャンス。それが今このときなのだと。
 一つ一つ心に染み込んでいる想いや遣り取りを思い出し、新たな決意と共に切なさを噛み締めた後藤は、突っ伏していたデスクから顔を上げた。
 凝り固まっている目頭を押さえると、涙が滲み出た。堪えようとすればするほど視界がぼやける。
(伊達さん、オレは…今度のチャンスは逃しません)
 携帯電話を取り出し、濡れた指先でメールを打つ。零れ落ちそうになる雫を左手の拳で拭いながらの一言は、やけに時間が長くかかった。
『次に会うときは、必ず約束を果たします』
 伊達さんを死なせないってことは、ただ守るだけじゃない。愛しさ故の願いは心の奥底に閉じ込めて決意する。
 返事は求めていないし、おそらく返ってこないだろう。でも、自分の覚悟が伝わればそれでいい。
(オレの知ってる伊達さんのバースを引き継ぐ、それが伊達さんを死なせないってことだ)
 そのためだったら戦える。彼のことを信じているから、必ず戻ってくれると信じているから戦う。
 まんじりともせずに一夜を明かした。何度も湧き起こる葛藤で心身は疲弊している。でも、寝たらせっかくの決心が揺らいでしまいそうな気がした。
 次に会うときは、数日後か数時間後か――。
 最大出力に調整したバースバスターを握り締める。この銃口を伊達に向けると思っただけで胸が苦しい。吐き出しそうになるため息を飲み込んだとき、携帯電話のベルが鳴った。
「後藤さん、真木博士が現れました」
 出ると同時に火野の声が聞こえてきた。メダルが呼び合う緊張のせいか、口調に焦りが滲んでいる。
「わかった。オレも向かうから場所を教えてくれ」
 早口に伝えられた場所を頭に叩き込み、後藤はバースバスターを肩に担いだ。
 待ち構えているのは1人じゃない。自分が向き合うべき相手も、きっとそこにいる。
(この手で絶対に、世界も命も…丸ごと掴んでみせます)
 自分がバースになって、すべてを守るために、後藤はライドベンダーを走らせ、戦いの場へ急いだ。



最終話のつもりが、1話余分に入ってしまいました。正直、本編を広げたところを書くのがパロの醍醐味だと思うのですが、後藤ちゃんの感情を抜くことができませんでした。
次はズバッと本編部分を除くつもりです。あともう1話お付き合いいただけると嬉しいです。
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夢と別離と愛しい人/伊達×後藤

2012/01/28 16:07
この場で限定記事にできないので、別の場所(プライベートブログ)に続きを載せました。
こちらからどうぞ。

R-18ではなく、チュー止まりです。次回のための下準備というか、他の方の厳しさに感化されたというか。
初の限定ですが、続きが気になる方は覗いてやってくださいませ。
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